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C-KOM の FREE WALK AVENUE

「フレッツISDN始めましたけど」

2000.09.24

フレッツISDNサービス登録とサービス料金
とりあえず繋げておこう(常時接続の効用)
OSがついてこられない
トロイの木馬ウィルス出現!!!
いずれは簡易ファイアウォール
ADSL、CATV、光ファイバー!?
8月7日より、私の住む東京都小金井市も、NTTのIP常時接続サービス 「フレッツISDN」のサービス地域に指定され、登録が始まりました。 ご存知のとおり、インターネットの接続料金は、プロバイダの接続料金が いくら固定になっても、NTTの電話料金が固定にならない限り、 接続時間とともに膨れ上がってしまいます。私は今までiアイプランを 使用していたのですが、これを機にスッパリと常時接続の環境に切り替える ことにしました。期待した通りの効果が得られたかといいますと、 まぁ良くも悪くもなく、とでもいいましょうか…。

フレッツISDNサービス登録とサービス料金

フレッツISDNは、ISDN利用者のみ契約可能な、定額IP常時接続サービスです。 フレッツISDNに加入しますと、各加入者に個別のアクセスポイントがNTTから用意されます。 ユーザはそのアクセスポイントに対してダイヤルアップし、 そこでユーザが別途加入しているプロバイダのID(若干記述が変わります)とパスワードを入力することによって、 プロバイダにダイアルアップしているのと同じ状態になります。 このアクセスポイントへの電話料金は、ひと月4500円固定 となっているため、プロバイダのほうも固定料金になっていれば、 完全固定料金でのインターネット接続 が可能になるのです。なお、4500円固定料金というのは電話料金のみを対象としていますので、 ISNネット64の基本料金2830円は別途掛かります(これは注意)。 また、加入プロバイダがフレッツISDN対応を謳っていない場合は、 このサービスは基本的に利用できません。

私の契約しているプロバイダの1つ「ASAHI-NET」での例を見てみましょう。 ASAHI-NETでは固定額で接続可能な時間に応じて、M,A,B,Sの料金コース分けをしていますが、 この接続時間は、あくまでASAHI-NETのアクセスポイントを使用した場合の使用量に相当し、 フレッツISDNを使用する場合はASAHI-NETのアクセスポイントを使わないため、 どのコースも時間無制限で使えると宣言されています。 すなわち最も安いMコース=月450円でも、無制限利用が可能です。 表1を見てみますと、ASAHI-NETの場合、7780円で完全固定料金の常時接続環境が手に入ることになります。 一方、@NIFTYでは、フレッツISDNは2000円の「無制限コース」のユーザのみ利用可能となっていますので、 もう少し値段が上がってしまいます。

表1:いろいろな料金例
料金内容 (A) ASAHI-NETの場合 (B) @NIFTYの場合 (C) 現在の私の料金
INS64基本料 2,830円 2,830円 2,830円
フレッツISDN利用料 4,500円 4,500円 4,500円
ASAHI-NET利用料 450円 - 1,700円
@NIFTY利用料 - 2,000円 950円
@NIFTY追加ディスク料 - - 800円
@NIFTY追加メイルアドレス料 - - 200円
合計金額 7,780円 9,330円 10,980円


私がどんな形で利用しているかといいますと、表1の(C)のようになります。 @NIFTY、ASAHI-NETの双方に加入し、常時接続はASAHI-NETのほうで利用しています。 @NIFTYで30MB、ASAHI-NETで50MBというWWWページディスク容量を確保するため、 双方に2000円近い金額を支払っていますので、こんなお値段になりました。 この料金表を見ると、CATVやADSLをお使いの方には高額に見えるかもしれませんが、 ISDNだけが頼りの地区では、これが精一杯です。

とりあえず繋げておこう(常時接続の効用)

登録開始が8月7日、折り返しの電話が8月20日、サービス開始日が9月4日という なんとも気長な登録期間を要しましたが (登録希望者が殺到したため、 NTTでの事務処理がパンクしているそうですが)、 これでいよいよ我が家も常時接続となりました。 諸々の設定を済ませて実際にダイアルアップしてみると、 なんと接続完了までのラグが@NIFTYのISDNアクセスポイントよりも早い!(^ ^) まぁこれは3秒→1秒くらいの差ですのでそれほど利点にはなりませんが、 ちょっと嬉しかったです。おそらくこの電話番号が私専用なので、 回線交換の時間が全く掛からないのでしょう。ちなみに、フレッツISDNでは、 IDとパスワードをNTTのシステム部分で入力させ、それをNTTがプロバイダに 転送しています。そのため、ダイアルアップのIDには、 プロバイダのIDに「@プロバイダ識別子」をつけて、 どこのプロバイダに接続したいかを明確にしなければなりません。ASAHI-NETの場合は「@atson.net」、 @NIFTYの場合は「@nifty.com」でした。

何故「asahi.net」じゃないんだASAHI-NET!


というのはさておき(^ ^;、このようにIDを切り替えるだけで、 フレッツISDNでアクセスするプロバイダを簡単に切り替えることが可能です。

ところでこのフレッツISDN、いくら常時接続になったところで、 基本性能は64Kbpsのままですので、 格段に使用感が向上するわけではありません。 今のご時世からいって、ISDNの64Kbpsというのは、はっきり言って「かなり遅い」部類に入ります。 ただ、とにかく今までと違うのは、 ネットワークに繋ぐための心的障壁が格段に低くなった点です。 フレッツISDNの利点はこれに尽きます。 とにかく、接続時間も通信量も関係なく定額なのですから、

これを湯水のように使わない手はありません。


私の場合、早速自動ダイアルアップのためのシェアウェアを導入して、 Windowsのスタートアップ時にいきなり接続してしまうような環境にしました(笑) PCの電源を入れっぱなしにすることはあまりありませんが、 それでもPCが起動している間は必ずネットに繋がっています。 ニュース系のサイトをあちこち見に行っても時間を気にする必要は全くありません。 また、何かちょっと調べたくなったときに、 すぐサーチエンジンを使うクセがつくようになりました(これは便利です!)。 さらに、私のPCは何故かよく時計が1980年にリセットされたりしたのですが、 常時接続環境では、桜時計をWindows起動時に走らせることで解決できました。 ほかに、巨大なファイルをダウンロードする場合も(ドライバ、アップデートファイル、MP3などいろいろ)、 何を気兼ねすることもなくダウンロードさせ続けることができます。フレッツISDNが割に合うかどうかは、 こういったへヴィーな使い方が性に合うかどうかで決まるといっても良いでしょう。

ちなみに私はダウンロード用フリーウェア「Iria」の愛用者でもあるのですが、 巨大なファイルのダウンロードをIriaにスケジュール設定しておいて、 ダウンロードを開始したまま出かけてしまったことも何度もあります。 (Iriaのことをダークなイメージで語る方もいらっしゃるようですが、 このツールはもの凄く秀逸なツールです。フリーウェアのメッカ「窓の杜」 でも1999年度の大賞に選ばれています。)  常時接続は「ようやくネットが自分の庭になった」 と思わせるだけのインパクトを与えてくれたことは事実です。

OSがついてこられない

ところで先ほどもちらっと触れましたが、「せっかく常時接続になったのだから、 PCもずぅ〜っと起動したままにすれば良いのに」 とおっしゃる方も多いかと思います。 私もずぅ〜っとそう思っていました。 しかし、しかし、実際に運用してみるとそれが不可能なことに気が付きました。 それはフレッツISDNの制限ではなく、 Windows98(というかWindows全般)にまつわる制限です。

「本当に常時アクティヴにできないのは、ネットではなくてOSのほうだ…」、


それに気がつくまでにそう時間は掛かりませんでした。常時接続を始めて以来、 ダウンロードを流しっぱなしにしてそのまま寝てしまうことなど日常茶飯事になりましたが、 朝起きてPCに触ってみると、何かがおかしくなっているケースがままあるのです。 タスクトレイの中がサウンドマーク以外全部空になってしまっていたり、 新しいIEを起動できなくなっていたり、また、Windowsを正常に終了できなかったり、 いずれもWindowsが不安定になるときに良く見られる症状です。 リソース管理の問題なのか、それともメモリリークの問題なのか、 いずれにせよ、Windows98が正常に連続動作する時間というのは せいぜい丸1日が限界のようです。

もちろんこれは、NTカーネル系OS(WindowsNT, Windows2000)では全く事情が違う と思われますが、少なくとも95/98カーネル系のOSを使用する限りでは、 パソコンの常時起動というのは現実的な運用形態にはなりえません。 もっとも、Windows系OSの最高峰といわれる WindowsNT Serverでさえ、 「少なくとも月に1度は再起動したほうがよい」という噂が流れるくらいですから、 クライアント用OSを使用する場合はたとえWindows2000であっても、 そう長い間起動しっぱなしにすることはできそうにありません。

また一方で、電源の問題も気にならないではありません。 もし停電など起きた場合に、データはどこまで無事なのか、 ということを考えると、ある程度の間隔でWindowsをシャットダウンしたほうが なんとなく安心できます。あるいは無停電装置を揃えるという解決方法もありますが、 そこまで仰々しい構成にするのもちょっと気が引けます。

というわけで、自宅で常時接続というと、いつでも繋ぎたいときにすぐにネットにアクセスできる というイメージがありますが、実際にはパソコンは常時起動にできませんので、 ネットに接続するにはOSの起動時間を経なければなりません。 このあたりはWindows2000を導入したら若干状況が変わるかもしれませんので、 いずれはトライしてみようと思いますが、どちらにせよ、1ヶ月繋ぎっぱなし、 というようなわけにはいきそうにありません。

トロイの木馬ウィルス出現!!!


何故 Notepad が常駐しているの???


ああぁ…、Windows起動時に常駐するようになってるし(泣)
話は変わって、先日、自宅のPCでトロイの木馬ウィルスを発見、駆除しました。 この話の流れでこう書くと「フレッツISDNって怖い」と誤解されてしまうかもしれませんが、 ウィルスのタイムスタンプから判断するに、このウィルスに感染したのは フレッツISDNに加入する1ヶ月も前でした。(-o-;) 発見されたのは TROJ_QAZ.A (別名 NOTEPAD.Trojan)というウィルスで、 メモ帳(notepad.exe)をすり替えてWindowsの常駐アプリとなり、 他のユーザの侵入の手引きをするという性質のものです。 いきなりHDDをフォーマットし始めるような過激なウィルスに比べれば、 まだ危険度は少ないといえるかもしれませんが…。

このTROJ_QAZ.Aウィルスの行動を解説するとこうなります。 最初にどのような経路でかは判りませんが、TROJ_QAZ.Aウィルスはユーザのディスクの中に侵入しました。 ここでこのウィルスは、Windowsフォルダにある notepad.exe を note.com にリネームしてしまい、 自分自身のプログラムを notepad.exe に変えてそこに保存してしまいます。 こうなるとメモ帳は乗っ取られ、ユーザがメモ帳を起動するとこの偽 notepad.exe が起動するようになります。 また、同時にWindowsのレジストリも書き換え、起動時に notepad.exe が自動的に起動されるようにもします。 これでユーザのPCには、ユーザがウィルスに気が付くまで、常にウィルスが常駐した状態になるのです。 巧妙なことに、この偽 notepad.exe は自分が起動されると内部でnote.comを呼び出し、 ユーザからは普通にメモ帳が起動したように見えます。 しかもWindowsの起動時に自動ロードされるときには、 notepad.exeの起動に独自の文字列を指定させてWindows起動時であることを感知させ、 note.comを呼び出さないようにしています。 起動時に毎回メモ帳が起動していたら不自然ですからね…。

さて、このウィルス、PCがスタンドアロンで動作しているときには人畜無害なのですが、 ネットワークに繋がっていると大変です。 ネットワークの外にいる悪意あるユーザがこのウィルスを利用すれば、 感染したPCを自在にコントロールできるのです。 データの覗き見、改ざんはおろか、システム情報の変更、ディスクのフォーマットまで、 普通PCのオーナーが可能なことは何でもできてしまいます (notepad.exeはこのPCのユーザが起動したことになっているのですから、 Windowsは完全に「安全なプロセス」だと勘違いしているのです)。 このウィルスはこともあろうに、ネットワークの外に向かって絶えず侵入成功の報告をしています。

「このパソコンを乗っ取ったよ〜。
乗っ取ったよ〜。乗っ取ったよ〜。」


とんでもないヤツです(笑) それに気がついたウィルスの仕掛け人、 あるいは仕掛け人と同等の知識を持った人が、これ幸いにとアクセスしに来るわけです。

私はおそらく感染した日から約1ヵ月後に、このおかしなnotepad.exeを発見し、 ウィルスチェックを掛けたのですが、 ソースネクストの「鉄壁2000」(エンジンは米NetworkAssociates社「VirusScan」)では、 最新のウィルス駆除データを使っても引っかかりませんでした。 それでも妖しいと思い、あちこち情報を探し回ってみたところ、 「ウィルスバスター」を販売しているトレンドマイクロ社のサイトで、ついに、 ウィルスであるという情報を発見することができたのですが、一方で、ウィルスチェックソフト三つ巴の雄、 「Norton AntiVirus」を販売するシマンテック社のサイトにもこのウィルスの情報は見つかりませんでした。 世に有名なウィルスチェックソフトのチェックがいかに網羅的でないかを初めて知った瞬間でした。 都合1ヶ月以上私のPCの中にいたウィルス…、私のPCのディスクの中身も、 誰かに盗み見られていたかもしれません。でも例えそうだったとしても、 ディスクをフォーマットされたりしなかっただけ、まだ救いはあります(^-^;)

いずれは簡易ファイアウォールも

特にフレッツISDNが悪かったわけでもないのに、何故こんなお話をしたかといいますと、 ネットワークに繋がっていることが

どれだけ外部に対して無防備な状態であるか


を、 深く認識させられたからに他なりません。 クラッカーは原理的にはどんなユーザに対しても攻撃が可能だとはいえ、 やはり、ネットにちょっと接続してはすぐ切断してしまうようなユーザに対しては攻撃を仕掛けにくいものです。 以前の私は、ウィルスはともかくクラッカーの直接攻撃に関しては楽観した考え方を持っていまして、 「クラッカーはわざわざ、自分のような大したデータを持っていないユーザを攻撃したりしない。 得られるものがリスクと苦労に見合わない」と考えていました。 しかし、今回のトロイの木馬のケースのように、 不特定多数に種をばら撒いて、引っかかったものにだけ悪戯するという、 本当に遊び気分でできてしまうクラック手法もたくさん存在します。 また逆に、悪意あるクラッカーの手駒として、 知らぬ間に大手サイトへの攻撃に加担させられているという可能性もあります。 フレッツISDNは何も悪くありませんが、 常時接続というのはそれなりの心構えが必要だということを知り、 良い経験をさせていただきました。

そうはいっても対策にはそれなりに手間暇や費用が掛かりますので、 私も当面今のままの環境で常時接続ネット生活を続けていく予定です。 (さんざんクラックの恐ろしさを訴えておきながらその態度は無いとは思いつつ… ^_^;) でも、何らかの行動を起こすとすれば、 まずは簡易ファイアウォールの設置から始めるかもしれません。 ファイアウォールとは、外部との通信を基本的に全て遮断し、 必要な部分のポート(WWW閲覧、メイルの読み書きなどに必要なポート)のみを 開放するという仕組みです。いかに自分の望む通信を通して、望まない通信を遮断するか、 今まで企業レベルで必死に取り組んできた問題が、 これからの時代いよいよ個人レベルにも降りかかってきそうです。

ADSL、CATV、光ファイバー!?

そうこうしているうちに、常時接続の波もいろいろな方向から足音を響かせてきます。 ISDNの約9倍、下り512KBの高速通信を誇るADSLは、 最大手の東京めたりっく通信社が、8月30日に

NTTコミュニケーションズと戦略提携


を発表しました。これにはびっくりです。 東京めたりっく通信はNTTから回線を借りなければ商売が出来ない関係上、 今まであまりサービス提供地域を広げられずにいました。 ADSLはISDN販売戦略に大きな打撃を与えるおそれがあり、 NTT東西各社が貸し渋り(笑)をしていたためです。しかしこのNTTコムとの提携では、 2000年内にもADSLの広域展開を積極的に行うとしています。 これはNTTの仲間割れなのか?それとも本当はADSLをしたかったのに、 ISDNを押してきた手前ADSLを積極的に推せなかったのでNTTコムに任せたのか(笑) いずれにしても、 NTTがISDNを推す以上ADSLは急展開しないと踏んで フレッツISDN導入に踏み切った私にとってはちょっとだけショッキングなニュースでした。

また、先日自宅のポストでこれも興味を引かれるチラシを発見。 私の契約しているケーブルテレビ会社「J-COM」のチラシには、こう書いてありました(要約)。 「工事のお知らせ: J-COMでは本年中に電話とインターネットのサービスをご提供するため、 配線工事を行います。下記の時間一時的にテレビが見られなくなりますがご了承ください」 これも本年中!? サービス内容はまだ不明ですが、ケーブルテレビによるインターネットは、 通常ひとまとまりの契約者でイントラネットを構成するような形で、 10Mbpsの高速回線を共有しますので、状況にもよりますが一般にはADSLと比べても遙かに高速な環境です。 全家庭に光ファイバーを繋ぐというNTTのFTTH(Fiber To The Home)計画も2005年に実現する計画ですが、 その前にも高速回線&常時接続バトル、これからもいろいろ目移りしてしまいそうです。

 

ご意見、ご感想は、 とらんぱ伝言板 または、 C-KOM(c-kom@mbf.nifty.com) まで。

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