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C-KOM の FREE WALK AVENUE

「C-KOMのW杯(その1) チケット奮戦記」

2002.07.07

まだ余ってる、ってどういうコトっ?!
さてもオーバーロードの日々
まさか…直前で……(泣)
電話は壊滅状態
有楽町のチケットセンターにて(6/7)
有楽町のチケットセンターにて(6/8)
今度は宮城だ!どうする???
次はできれば "餅屋" にしてほしい


今回のW杯は待ちに待った自国開催!でもチケットの抽選には落ちたし、 地元近くの調布市で代表チームのキャンプがあるけど、でも「サウジ」だし(^_^;、 1ヵ月間のW杯はTV三昧で堪能しようと決めていました。 ところが開幕前後の日になって、 どうもまだチケットが余っているらしいことを告げるニュースがちらほら聞こえ始めました。 そして私は遂に、W杯チケット争奪戦に参戦する羽目になりました。。。

まだ余ってる、ってどういうコトっ?!

皆さんもよくご存知のことと思います。あの、FIFAからW杯チケット販売を一手に請け負っている「バイロム社」が、 W杯直前になって突然、「チケットはまだ売れ残っている」という発表を行いました。 W杯のチケットは、日本国内でいえばまだ適正価格の範囲内と言えますが、 海外では旅費なども含めるとものすごい高額になってしまうため、 海外での売行きは芳しくなかった、というのがその原因です。 そこでバイロム社は、こともあろうに自社のWebサイト上で直前販売を敢行しはじめました。

対するJAWOCはもともと、直前のネット/電話/現地での販売は極度の混乱を招くという理由で、 直前販売を禁ずることでバイロム(FIFA)と合意していただけに、 これには規約違反である旨の抗議が出されました。 しかし実際にW杯が始まってみると、やはり売れ残りと見られる 「スタンドの一部分だけぽっかりと大量空席になる」現象が続出し、 さしものJAWOCもサポーターの怒りを抑えられなくなりました。 そしてようやく、JAWOCは売れ残りの50%を国内で引き取って電話販売することにし、 残りの50%はバイロムがネット販売することで折れました。 これが、あの熱狂を生んだネット販売、電話販売の始まりです。

私はそれを見て早速そのチケット販売サイトにアクセスし、状況を確かめたのですが、 そこはすっかりオーバーロード(過重負荷)によるアクセス拒否のメッセージが出ているだけで、 完全に混乱状態に見えました。 「ふーん、やっぱりそんなものか…」と思った矢先、期せずして兄から依頼を受けてしまいました。

「お前なら、とれる?」


「6/8鹿島のイタリアvsクロアチアを2枚。もし取れたら価格は上乗せして払うよ」 その言葉を聞いた私は「なんで自分が…」と思いながらも、 これはもしかすると、仕事上の良い経験になるかもしれない、と思い始めていました。 アクセスが極度に集中したEコマースの問題点などが身を持って体感できるかもしれない、 それにはこのチケット問題は非常に面白い題材だ、と考えた私は、 ためしにトライしてみることにしました。この日は6/4。 X-Dayまではあとわずか4日(実質3日)しかありませんでした。

さてもオーバーロードの日々

さて、問題のチケットサイトは、 https://www.fifatickets.com/ です。このサイトはいつでもものすごい量のアクセスが集中していて、 ほとんどの場合、緑色の平坦な画面に数ヵ国語で

「ご迷惑をおかけしておりますが、現在サーバーがオーバーロードしています。」


という、つれない文字列が表示されるだけです。 しかし2ちゃんねるなどのネット掲示板では、もっと先に進めたという報告が多数上がっています。 そこで私も、このままではいけないと思い、

泣くほどアクセス


する決意を固めました。普段使用しているタブブラウザ「Cuam」には、 一度にたくさんのページを開く機能がありますので、 まず、このサイトのアドレスを10個登録して、 このサイトにいっぺんに10回アクセスできるようにします。 それを開いては、ダメそうなページを閉じて、また10個開く、という、 かなり力技な方法で、それも数時間単位の長さで 集中攻撃 しました(笑) すると、こんな稚拙な方法でもある程度効果があるもので、 時々トップページにたどり着けるようになりました。 ようやくこれで、争奪戦のスタートラインに立てたことになります。

このサイトでのチケット購入までの道のりは非常に険しく、 なんと6段階の壁をクリアしなければなりません。
  1. クレジットカード番号を入力する
  2. 地図が表示されるので、そこから場所と対戦カードを選ぶ
  3. カテゴリ(席のランク)と枚数を入力する
  4. 各チケットの所有者の名前、生年月日などを入力する(枚数分)
  5. チケット購入者の住所や電話番号などの情報を入力する
  6. 全ての入力情報が表示されるので、確認して「購入」をクリックする
  7. 完了を伝えるメッセージが出て、購入成功!

全部で7段階もある購入作業。
これは最初のクレジットカード入力画面。

日本と韓国のマップが表示され、
目的の試合が販売中かどうかを調べます。


しかも、トライし始めた翌日あたりからは、これに時間制限が付きました。 一番最初の画面から15分以内に全ての操作が完了しないと、 強制的に一番最初の画面に逆戻りさせられてしまいます。 しかも凄くマヌケなのは、全ての作業が同じサーバで行われているらしいところです。 すなわち、みんなオーバーロードの恐怖におびえながら作業をしているのですが、 例えばAさんが第5段階あたりに進んだとしても、他の大勢の人が第1段階に大量にアクセスすると、 Aさんの作業も固まってしまうのです。 そして結局オーバーロード → 最初の画面に戻る、 というどうしようもない循環に巻き込まれてしまいます。 こうして 参加者同士がみんなで足を引っ張り合った 結果(^ ^;; 数百枚のチケットもなかなか完売しないという「珍プレー」が続いていたのです。

さらに、まる一日トライして気が付いたことは、オーバーロードしている時間の合間に、 ふっとオアシスのような快適アクセスの時間、通称 「サクサクタイム」 が存在していることが判りました。 このサクサクタイムは、私も含む全国のチケットハンターたちが、

偶然、一斉に手を休めたとき!!


に発生するという、とんでもない低い確立で出現し、 それを的確に捕らえた者はチケットゲットという「勝利」に限りなく近付くという、 みんなの憧れの時間です。私の知る限り、このサクサクタイムの出現率が高い時間には法則があります。
1. 午前11時ごろ … 大勢の人が外出している頃らしい
2. 午後6時ごろ … 同じく大勢の人が外出している頃らしい
3. 午前4時ごろ … 徹夜組から落伍者が出始める頃らしい
4. 日本戦の最中 … チケットの無いサッカーファンも、国立競技場やパブなどに出向いているらしい。もっともオススメの時間帯。
さらにあと1つのサクサクタイム、これはある意味衝撃的です。
5. W杯の試合放映中で、どちらかのチームがチャンスになったとき
 チケットゲットを目指してアクセスしている人は極度のサッカー好きなので、 必ずW杯中継は見ている。そして、良い場面になった瞬間にTVに注目するので、 チケットサイトにアクセスする手が止まる。とくにFKの時はチャンス(笑)
この5.は信じがたいかもしれませんが、実際に体験したことで、おそらく事実です。 このときばかりは、私はネットを通じて、他の戦友 :-) の動きが手に取るように判ることに 驚きを隠せませんでした。そう、全国各地のチケットゲッターがみんなネットで繋がっていて、 その手応えが、ブラウザを通じて伝わってくるのです。 いや、笑いごとではありません

まさか…直前で……(泣)

6/4、6/5と、朝早く起きてアクセスしたりと苦労を重ねて来ましたが、 それでもほとんど「第2段階に進めばラッキーなほうだ」というレベルの時間帯が延々と続きました。 それでも、上記にあったようなサクサクタイムの見付け方などが少しずつ判って来るようになり、 また、第1段階のクレジットカード番号の入力も神わざ的に高速に なってきていました。しかし未だに第3段階まで進んだのが最高結果であり、 チケットゲットの予感は遠のいていました。

そして来る6/6夕方、私はすでにW杯チケット戦争の中毒になっており、 会社を定時で切り上げてPM 6:30には自宅にいました。 私はまずTVをつけて、カメルーン vs サウジアラビアの試合状況を確認すると、 おもむろにノートPCの蓋を開き、またfifatickets.comにアクセスを始めます。 「どうせ今日もダメなんだろうなぁ…」と半ば諦め気味にもクレジットカード番号を叩き続けて、 そしておよそ10数分後、「あれっ?」と思わせるくらいのサクサクタイムがやってきました。 10個くらい同時に開いていたウィンドウで全て、 fifatickes.comのトップページが正常に表示されるなんて初めてのことです(笑) 地図に進んでみると、なんとラッキーなことにIbarakiの「Italy vs Croatia」が緑色の丸 (チケット有り)を示しています。おそるおそる押して更に進んでみると、なんと初めて、 第3段階のカテゴリ・枚数選択のページも突破してしまいました。

「おいおい! イケルよ! えっ!? なんだこれー、うわーっ!」


奇声にも似た声を発し、もはや訳が判らずパニック状態ですが、 初めて見る名前入力欄に感激もひとしおです。ちなみにこのfifatickets.comは、言語ごとに分けてページを 用意しており、当然日本語ページもあったのですが、日本語ページの場合は名前や住所を 日本語とローマ字で2回ずつ入力しなければいけないため、入力の迅速化を図って 英語のページでアクセスを続けていました。さっそくチケット所有者の名前をローマ字で入力していきます。 チケットの座席表を確認すると、うん、たしかに連番(隣同士)の2枚です。 continueを押すとなんと第4段階もキレイに突破!!うわー!うわーー!

第5段階ではチケット所有者ではなく、購入者の情報を入力します。 なんでここでもう一度クレジットカード番号を入力せなあかんねん! と理不尽に思いながらもひたすら入力。サルのように入力! 住所の中に「-」(ハイフン)を使うと何故か拒否されるという情報をネットで入手していましたので、 そこは慎重に別の文字「,」(カンマ)で代用しました。 そのあいだ、手は震えまくっています。止まらないでくれ、止まらないでくれ、 まさかここまできてオーバーロードになったら、、、、、そんなことばかり考え続けていましたが、 continueを押すとなんと第5段階もすんなり突破!!だーっ!!

いよいよ第6段階、これが最後です。この画面はいままでの入力情報が表示されて、 それを確認するだけです。数秒でざっと見まわして大丈夫なのを確認し、 「買える」「買える」「買える」「買える」とウワゴトのように(笑)つぶやきながら 最後のボタン「PRESS TO PURCHASE」(購入する)というリンクをクリックしました。

それが最後でした。。。。 画面からは何も反応がありません。

あれっ?まさかね…、こんな最後の最後で、、、 いや、だって今までずっとアクセスできてたし、まさか、こんな、、、 そんなわけ、、、そんな、、、、、、、、、、っっっ、

「そんなぁーーーーっっっ!」



最後の画面で固まる…、
こんな悲しことはありません。

悲しく点滅する「expired」の文字
神さまは居なかった…。


それから放置すること数分。。。結局全く反応はありませんでした。 そしてしばらくすると、タイムアウトを知らせるメッセージが表示されました。

Your Reservation has probably expired 」(あなたの予約はおそらく期限切れになりました)

その後数時間、私は放心状態でした。。。

電話は壊滅状態

ネットでの情報では、最後のsuccess!のページが表示されなくてもチケットが取れていた、 という報告がいくつか上がっていました。しかし、こうはっきり「expired」(期限切れ) というメッセージが表示されると、あまり望みのある気がしません。兄には経緯を説明して、 ダメ元で一応チケットセンターに行ってみるから、と伝えておきました。

そして翌日の6/7になりました。X-Dayの前日です。 この日は初めて余りチケットの電話販売が行われる日であり、 ネットで取れなければ電話で、という新たな意気込みを持ち始めていました。 幸いにも、日本戦のチケットとイタリア戦のチケットでは、 電話番号が異なっていますから、

もしかしたら日本戦に集中して、イタリア戦は空いてるかも…


という淡い期待もありました。そんなこんなで私はその日の正午を、 公衆電話の前で、携帯電話+公衆電話の両方の受話器を持ちながら待ちました。 そしていよいよ運命のスタート!そこで思い知ったのははかない現実でした。

「お客様のお掛けになった電話番号は、現在大変混雑しております…」


何度も掛けました。公衆電話は一度切ると出てきたカードを入れ直す作業が発生するため、30秒に一回くらい、 携帯電話ではほとんど3秒に1回くらい、 全部で500コールくらいを入れましたが、 残念ながらただの1度も繋がることはありませんでした。

既に時刻は12:30を回り、自分自身の中であきらめムードが漂ってきた頃合になり、しかたなくコールを断念。 その後ネットでニュースを確認してみると、日本vsロシアは20分で完売、イタリアvsクロアチアは45分で完売、 というニュースが流れていました。日本戦のほうは最初の3分だけでなんと200万コール!を受けていたそうで、 そのたった3分だけでも 700枚 ÷ 2,000,000 = 3,000分の1の確率 だったということになります。実際の確率はその数倍ですから、たとえば3万分の1といった単位の確率になり、 500回も掛けた人でも60人に1人しか当たらないことになります (すごくいい加減な計算ですが…)。 まして、チケット購入業者の最先端の機器が相手となれば、一般人の電話が繋がる可能性は皆無と言えるでしょう。 私は落胆すると同時に、在る意味開き直って、この戦いに参加している自分がとても貴重な経験をしているように思えてきました。 「こうなれば、いっそW杯チケット関連のいろいろな体験それ自体楽しんでしまおう」 そんなことを考えて、今度は夕方に訪れる予定の、有楽町にあるチケットセンターの場所を調べることにしました。

有楽町のチケットセンターにて(6/7)

夕方、仕事を定時で切り上げて(またか…^_^;)、早速電車に飛び乗って有楽町へ。 実はこのチケッティングセンター、夜は7時で閉まってしまうのです。 そのためかなり慌てたのですが、有楽町には6時20分頃には到着し、ほっと一安心です。 その後ちょっと迷ったものの、なんとか東京国際フォーラムの地下に設けられている チケッティングセンターを発見しました。

ところが着いてみてビックリ! そこにはすでに数十人の列が出来ています。 「へ〜、チケット受け取って帰るだけなのに、列が出来ちゃうんだ〜」と思っていたのですが、 それは勘違い。しばらくしてチケットセンターの係員がこう叫んだのです。

「只今、チケットを発券する機械が故障しております!
本日中に復旧するかどうかは判りませんので、
その点をご了解の上、お並びいただけますようお願い申し上げま〜す!」


えっ?!、……と、一瞬目が点になりました。
だって復旧も何も、あと30分しかないのです。 他のお客が係員と話しているのを聞くと、どうも単純に機械の故障などではなく、 チケット販売元のデータベースと通信ができていないようで、なんと他地区のチケッティングセンターでも 一斉に止まっているとのことでした。 それから10分待ってみても全然状況には変化がありません。 どう考えたって、すぐ復旧してサクサクと発券できるような状況にはなりそうにありません。

そしてついに、中にいた係員から、重い口が開かれました。

「大変申し訳ございませんが、本日の発券は不可能と判断しました。
明日の朝に予定を30分早めて8:30から発券を再開しま〜す。」


これは、とんでもないことになりました。 なぜって、これは明日6/8の試合のチケットなのです。 私と同じ境遇と思われる人も、係員に喰ってかかっています。 「今日は良いとしても、明日は絶対に大丈夫なんですか!? 万が一明日の朝来て、動いていなかったらどうするつもりなんですか! 今日がダメなら、明日以降どのように対応するか、ちゃんと約束してからにしてください!!」

これは至極もっともなご意見だと思います。 私は「まぁ、自分のチケットは99%取れていないだろうな〜」と思っていましたので、 ワリと冷静でしたが、もし確実にチケットを取っていた人ならば、 機械のトラブルで念願のW杯が見られなくなるかもしれないという状況で、 冷静でいられるはずがありません。 実は喰ってかかられた係員のほうも、単なるお雇いさん(バイト?)で、 中には外国人の正式スタッフが居ます。終いには、誰が呼んだのか

警官の方まで登場して、


「スタッフの人はちゃんと説明するように」とお叱りを賜る始末。。。 いろいろあった末、外国人の正式スタッフが説明をすることとなりました。 「それでは、明日の茨城の試合の人だけ、特別に説明をします」 これは大変なことになった、と私は心の中でそう思いました。

「全部で12人だね。。。1、2、3、…あれ、13人いるね」 こんなことになると思っていなかった私は、最初に「茨城の試合の人」と言われたときに 手を挙げていませんでした。慌てて「さっき挙げていませんでしたので、、、」と言い訳を 入れるハメになります(これであの日の12人には私が誰だか判ってしまいますね・汗)。 チケットセンターの正面ドアは閉めて、裏口から入室すると、そこには困惑した顔の 外国人スタッフが5〜6人経っていました。その内2人が日本語を話すことが出来ます。 女性の外人さんスタッフはこう言いました。 「タイヘン、ゴメンナサイデス。皆サン、ノ、てぃけっとガ取レテイルカドウカハ、 デキルダケ早クニカクニン、シテ、アシタノアサ一番ニ、デンワデ、連絡シマス」 ……はい??……なるほど??

話を聞くと、もうどうやっても今日中には発券できない模様で、
  1. 明日の朝にもう一度ここに来てチケットを受け取る
  2. 茨城の鹿島スタジアムにチケットを送ってもらって、現場で受け取る
の2つから選択する、ということになるようです。 また別の人が「もし明日の朝復旧していなかったらどうするんですか?」と 再度確認していましたが、そこは「大丈夫、直るから」の一点張りで押されてしまいました。 「絶対!(Absolutely!)」 責任者らしき年輩の人がそう何度も繰り返しました。 結局みんなで名前、クレジットカード、電話番号を書いて、他の人より早く 連絡を貰えるように念を押してから帰ることになりました。

みんな最後まで不審感が拭えません。 しかし、わたし一人が違うことを思っていました。


「 ほぼ99%取れていないのに、こんなトコロにいてごめんなさい… 」
「 状況を楽しんでしまっていてごめんなさい… 」
「 Webサイトのネタが出来たと言って、喜んでいてごめんなさい… 」


本当にごめんなさい、みんな真剣だったのにね(笑)

有楽町のチケットセンターにて(6/8)

その6/7の晩、実は私は、明日の朝チケットセンターに行くかどうか迷っていました。 どうせ取れているわけはないし、もういちど電車賃払っていくのもなぁ、 という思いと、もしシステムが復旧されていなくて、その場で暴動が起こったりして、 巻き込まれたりしたらどうしよう、という不安も本気で持っていました。 しかし、まだ状況を楽しむ思いが強かった私は、 結局、「このW杯のチケット騒動は人生の中で貴重な経験になる」(?)という 不届きものな考えを持って、重い腰を上げることにしました。 翌朝、時刻は7時過ぎ、私は土曜日なのに眠い目をこすって、 再度有楽町に向かいました。

今回は2度目ですので、道もなにも勝手知ったるものです。 9時前には着いてしまい、早速正面のドアのところに行きました。 すると、あれ?昨日とは随分様子が違います。 いや、これが正常な状況なのでしょう。 行列は全くなく、奥のほうで外国人のスタッフが数人、お客を待ちかまえています。 ゲートのところで日本人スタッフに、奥に行ってクレジットカードを出してください、と言われ、 「あ、いや、取れている可能性はほとんど皆無なんですけどね、はははは」 と言うわけにもいかず、 言われるままに奥に進み、外国人スタッフにカードを渡しました。 「たぶん取れていないんだろうな〜、恥ずかしい…」 と思ってうつむき加減にしていると、突然何か言われました。

「Is this correct ?」


はい?…あれ?何?と思うと、その機械の画面に、 英語でチケットの情報が出てきています。 (というか何気なく英語で訊くのは間違っていないだろうか…。英語全く判らない人だっていっぱいいるのに…)。 Italy ? Croatia ? ……、 あーっ!! そう、間違い有りません。これが前日に「expired」で儚く散ったかと思われた、 あの幻のチケットのことです。まさか本当に取れているとは夢にも思いませんでした…。 思わずガッツポーズして「クーッ」と叫びながら辺りを一周してしまうくらいの 気持ちをぐっと抑えて、「Ya」とだけ返事をしました。 するとその人が何か操作をして、その後、チケットが「ウィーン」と機械から印刷されてきました。 チケットを1枚、2枚、さらにオフィシャル小冊子を貰って、これで全部です。 もう、内心は小躍り状態で 、ニヤついた顔が止まりません。本当に、これがあのW杯チケットなんだぁ…。

兄からは「別の場所に出かけているけど、万が一取れていたらソッコーで引き返すから、連絡よろしく」 と言われていましたので、早速兄のケータイに連絡を入れます。 そして相談の結果、三鷹駅前で引き渡しを行う約束をしました。 そこで私は早速、東京国際フォーラムの建物の外に出て、 その辺のコンクリートの上にチケットを並べて、妖しくも記念撮影を敢行しました。 実はこの時のために、しっかりとデジカメを持参していたのです(笑)。 風がちょっと強いため、飛ばないようにおそるおそるセッティングしての撮影です。


ついに手に入れた念願のチケット!
オフィシャルガイドとセットです。

ぼかしが入っているところは氏名が入っています。
観戦が終わっても記念に残ります。


三鷹に向かう途中、四谷駅で急にケータイが震え出したため、 慌てて取りました。すると昨日の聞き覚えのある女性外人さんスタッフの声です。 「アノー、○○○サンでスカ? 昨日ノ、いばらきノ、てぃけっとが取レテ、イマスガ、ドウシマスカ?」 私の方は「あははは…(^ ^;;」と苦笑い。先刻取りに行って、もうチケットを持っていることを伝え、 「おつかれさまでした、がんばってください」と付け加えておきました。

そして朝10時、無事三鷹駅に着き、兄にチケットを引き渡しました。 これにて任務終了です! 兄はこれから車で茨城(鹿島スタジアム)に向かうことになります。 試合開始は18:00。がんばれ…。

今度は宮城だ!どうする???

チケット戦争が終わり、ようやく ほっと一息 ついた感じで、自宅に帰ってリラックスして何気なくTVを見始めたりしていました。 しかし、ふと、もはやクセになっているのか、ノートパソコンの蓋を開き、 無意識に再度fifatickets.comにアクセスをしてみました。 すると、なんと驚いたことに、この時間はたまたまサクサクタイムであったようで、 すんなりとページが表示されています。私はもはや肩の力が抜けており、 「おー、アクセスできるんだ〜」というくらいの軽い気持ちでしかありませんでした。

しかし、マップ画面を見てみると、明日の仙台の試合「メキシコvsエクアドル」が 緑になっています。あれ?っと思ってクリックを続けていくと、 するすると前に進んでしまうではありませんか!

「ど、どうしよう、………どうする??」


カテゴリ・枚数選択、住所入力、ページがどんどんめくられていきます。 全く予期していなかった2度めの奇跡です。 そしてついにあの、2日前に悲しみのどん底を味わった「PRESS TO PURCHASE」の画面までやってきました。 もはや決心は付きました。仙台はそんなに遠くないと思うし(このときはそう思いこんでいました。 のちに間違いであることに気が付きます…)、記念にもなるし、ということで購入することにしました。 そして今度はぬかりなく、 画面キャプチャの準備をします(笑) そして遂に見たのです。最後の画面を!! メキシコ vs エクアドル in 仙台もゲット成功です…


初めて見た、完了の画面。
思ったよりシンプルなメッセージです。

ちゃんと「completed Successfully」の文字が。
「このあとはセンターに行って云々…」とあります。


最後の画面はわりとあっさりとしたメッセージだけが載っていました。 しかし、初めてSuccessにたどり着いたことには変わりありません。 5日間の苦闘の末、ようやくちゃんとした達成感を感じることができたのです。 「こうなったら行くしかないな…」 私は翌日の仙台行きを誓い、今度は新幹線やまびこの時刻表を調べることになりました。

時刻は2時を回り、私は今朝訪れた東京国際フォーラムを再度訪れることにしました。 もちろんチケットを受け取りに行くためです。 一日に2度もチケットを取りに行くなんて私くらいのものでしょう(笑)

午後3時半頃にはチケットセンターに着きました。チケットゲットも2度目で慣れたものです。 今度は2〜3人の列があります。列の先頭まで行ったところで、私は尋ねました。

私 「ここって、写真とか禁止されているんですか?」
係員「いや、特に禁止ということはなかったと思いますけど…」
私 「では、チケットを取った後、ちょっと勝手に撮影させていただきますね」
係員「…はぁ」


よしよし。


東京国際フォーラムの地下にある
チケッティングセンター。中はこんな感じ。

これがチケット販売(印刷)機。
クレジットカードを差し込むとチケットが出てきます。


ということで撮ったのが上の写真です。明るい色の壁作りの一部屋にチケット発行の機械が数台あって、 そこにスタッフが待機しています。1回目と同じように、クレジットカードを差し出すと チケット情報が画面で現れ、また「Is this correct ?」「Ya」という同じ会話を経てチケットを獲得しました。

紙幣などの、価値を持つ紙のコピーを取るのは御法度なのですが、 もうW杯は終わったので、公開しても大丈夫でしょう。 これはまだ右側をちぎられていない段階で、表裏をスキャンしたものです。



次はできれば餅屋にしてほしい

こうして、私のW杯チケットを巡る奮戦は幕を閉じました。 このあと当然、「観戦記」が待っているのですが、それは「その2」として後ほど執筆することにしましょう。

それから20日ほど経ち、VISAの利用明細が届いたのですが、 それを見て私は思わず唖然としてしまいました。 カテゴリ1のチケットはUSドルで1枚150ドルです。 しかし、日本円の請求額はリアルタイムの為替レートに影響されるのですが…、


為替レートに注目! 126.799って…。


1ドル 126.799円 !?? 実は今まで知らなかったのですが、三井住友VISAでは、海外での買物は為替手数料が ×1.0163の率で上乗せされることになっているのです(多かれ少なかれどこのVISAでも同じ)。 この場合元の為替は124.765円ということになります。 私はこの手数料のことを知らないばかりか、 為替は1ドル123円くらいだと思っていましたので、 つまり、

チケット1枚つき想像より700円以上高かった


ということになります。ちょっと「ひぇー」と思ってしまいました。 しかし、このあと記述する観戦記も含め、とても貴重な経験をくれたこのチケット代には、 このくらい払っても払いすぎということはないでしょう。 W杯が日本で行われるのはおそらくウン十年先になってしまうと思われます。 その、もしかすると最後のチャンスかもしれない地元W杯をこの目で体験できたことは、 本当に運の良いことだと思います。チケットの半券も、ずっと大事にしまっておきたいと思っています。

最後に、やはり主催者側のチケット販売の不手際には触れておかなければなりませんね。 このチケット販売の混乱は、おそらく「チケットぴあ」のようなチケット販売大手の主催で 執り行われていたなら、まず起きなかったでしょう。 単純にチケット販売とは言っても、細かなノウハウを沢山積み上げてこそ、 ようやく一人前のチケット販売が滞りなく行われるのだと私は思います。 やはり餅は餅屋。今後のチケット販売(たとえば2006年のドイツW杯の日本配分チケットなど)は、 やはり本職のチケット販売業者に手がけて貰いたいなぁと思います。 まぁ、そのお陰で貴重なお祭りに加われたのですけどね♪

それにしても、私と同じく、チケット争奪戦に参加されたみなさま、

お疲れさまでしたー

 

ご意見、ご感想は、 とらんぱ伝言板 または、 C-KOM(c-kom@mbf.nifty.com) まで。

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