FREE WALK AVENUEに戻る。
表紙に戻る。

C-KOM の FREE WALK AVENUE

「お手軽簡単なFTTHでイイコトできる?」

2003.05.30

憧れの光がなんとこのお値段!キャンペーン
宅内工事さんいらっしゃ〜い
思っていたのとちょっと違わない?
バックボーン問題は思ったより根が深い?
おまけ: MTUとTcpWindowSizeの設定
先モノ買いのイメージがあるBフレッツ
後日補足: プロバイダを替えると速いのか!?そうなのか?? (2003/07/14 UPDATE)

開始サービス下り速度理論値上り速度理論値形式
1999年10月ISDN64Kbps64Kbps手動
2000年9月フレッツISDN64Kbps64Kbps常時
2001年3月ADSL eAccess1,500Kbps500Kbps常時
2002年1月ADSL eAccess8,000Kbps1,000Kbps常時

上に示したものは、ここ数年の我が家のネットワーク回線状況の遷移です。 年に1回以上のペースで回線が変わっています。ハイエンドを追いかけているつもりはないのですが、 自宅にサーバを置いている目的上、少しでも快適な環境を追い求めているうちに 自然にこうしたジャンプを繰り返す羽目になってしまいます。しかし私なりに基準はありました。 月額1万円以上もする特別なサービスではなく、ある程度リーゾナブルな価格に落ちてきたサービス のみを対象にして、乗り換え先を選択してきていたのです。そうしてまた1年経つと、次の標的が現れました。

憧れの光がなんとこのお値段!キャンペーン。

2003年4月、ADSLの8Mbpsサービスを使ってホクホクWebを閲覧していた私の目に飛び込んできたのは、 @niftyの「Bフレッツ・BIG・BONUSキャンペーン」の広告でした。

【ブロードバンドの大本命】光100M!


5月31日までに申し込めば初期工事費27,100円が完全無料、 加えて月額利用料のうち@nifty分の2,000円/月も 3ヶ月無料になる、というものです。このキャンペーンはそもそもNTTの動きと同期しているもので、 この時期から東西NTTがBフレッツを急激にプッシュし始めていました。 4/1からニューファミリータイプの月額利用料(NTT分)が5,800円/月→4,500円/月に値下げ(+機器レンタル1,100円) され、NTT東日本自体が工事費の半額キャンペーン(27,100円→13,550円)を行っている状況にあり、 @niftyなど大手ISPはこぞって、それに+αのキャンペーンを張り始めたというわけです。

これにより、初期導入費用は27,100円→0円に、月額利用料合計(NTT+機器+@nifty)も 8,900円/月→7,600円/月(開始3ヶ月は5,600円)。 リーゾナブルといえばリーゾナブルなところまで落ちてきた感があります。今まで使用してきたADSL 8Mbps コースの価格は3,948円/月だったことを考えると、価格的には倍額となりますが、 光接続の恩恵が受けられるのであれば、悪くはない価格設定です。

この時点で私の頭にはまだ迷いがありましたが、申し込んでから開通するまでには1ヶ月以上掛かるということで、

今、申し込んでおかないと、1ヶ月後の自分が後悔する!


という頭の中お花畑状態の理論を展開していました。 キャンペーンに踊らされていたなどと人聞きの悪いことを 言ってはいけません。私にとって現状のネットワークの課題は何よりも「上り回線の遅さ」にありました。 これを解消するためにBフレッツはある意味最適解だったことは間違いないのです ・・・ないのです・・・ないのです・・・自信無くなってきた。 まぁとやかく言っても実際のところ本音は

「光ファイバーっていうスゴイのを使ってみたかった!」


というのが正しい認識です。これでイイです、もぅ。

早速、1ヵ月後の自分が勝者でありますようお祈りを捧げ(?)、 4/17に@niftyのキャンペーンサイトから申し込みを行いました。ここから申し込まないと割引が適用されないので注意です。 すると「コンサルティング日」を設定する欄がありました。 コンサルティング日とは、NTT側とユーザ側が工事の日程やその他の必要事項について電話で直接話し合う日のことで、 申し込み日から6日後以降を設定する必要があります。

もうここで1週間待たされますか。


まあいいやと思いつつ、コンサルティング日を4/23に設定。するとその日に確かにケータイ宛に電話を貰え、 その場で工事日を決定することになりました。自宅付近までのファイバ敷設状況は良好のようで、 特に前置きの現地調査などをせずスムースに工事を行えるようです。そこでNTTの方はおっしゃられました。 「最短で5/21になりますので、5/21AM、5/21PM、5/22AM、5/22PM、5/23AM、5/23PMのどれが宜しいですかぁ〜?」

だから何でそこで4週間待たされますか(;´Д`)


どうせなら土日に…と思って聞いてみると、土日の工事は追加費用が発生するらしく、お勧めできないとのこと。 一体いくら掛かるのか怖くて聞けないまま、最短の5/21AMに決定しました。 あ〜、有給休暇取らなきゃ、だ・・・。そろそろクビになるんじゃないだろうか、私・・・。

開始サービス下り速度理論値上り速度理論値形式
1999年10月ISDN64Kbps64Kbps手動
2000年9月フレッツISDN64Kbps64Kbps常時
2001年3月ADSL eAccess1,500Kbps500Kbps常時
2002年1月ADSL eAccess8,000Kbps1,000Kbps常時
2003年5月Bフレッツ・ニューファミリータイプ100,000Kbps100,000Kbps常時


早速、妄想テーブルに1段追加です。理論値で比べても全く意味無いのは 百も承知ですが、気分だけでもFTTHということで。実際にBフレッツ・ニューファミリータイプのユーザは 実測で20Mbps〜50Mbpsくらいを叩き出しているという話を聞いていましたので、それなりに期待しながら長い1ヶ月を待っていました。

宅内工事さんいらっしゃ〜い

さて、実際5/21の工事日になるまでの間、まったくやることはありません。@niftyやNTTからは電話の1本も掛かってきません。 若干不安になりながらも、じっくり待つことにしました。ところが、しなければならないことは他にありました。

" 部屋の片付け "


です。そういえば宅内工事だった・・・。ふと振り向くと そこには足の踏み場もない壊滅的な部屋が・・・。 結局5/18、5/19の週末はすっかり部屋片付けに追われてしまいました。 妄想ばかりして現実の盲点を突かれた格好ですが、おかげで部屋が綺麗になりました。

かくして、5/21AM 11:00頃にNTTの作業員の方がやってきました。さあいよいよ始まるのです!

「自宅に " 21世紀 " がやって来る瞬間です!」


自宅にやって来たのは21世紀のおじちゃんとお兄さん合わせて2人。 21世紀もフツウに使われているであろう、フツウの作業用のツナギを着ています。 ・・・なんだフツウじゃないかヽ(´ー`)ノよろしくおねがいしまーす。 あの2階の部屋に電話線が引いてあるので、同じところからファイバを入れてくださいな。

おじちゃんはふむふむと頷いて、早速工事を始めました。まずは道路側にある電線のところから、 光ファイバを自宅ベランダまで引っ張ってきます。クレーン車を使っての大掛かりな作業です。 その次に引っ張ってきたファイバを部屋の中に引き込みます。最初は電話線を引く為に開けた穴 (保安器でカバーしている)と同じ穴を通して欲しいと伝えましたが、光ファイバは電話銅線のように くねくね曲がらないので場所的に難しいらしく、エアコンのホースのところから引き込むことになりました。 引き込む場所が決まるとあとは単純作業が黙々と続き、全部で30分ちょっと程度で全ての作業を終わらせたようでした。

なかなか手際が良いなぁ。好感持てるじゃん? と思っていると、おじちゃんはおもむろに テスト用の機器を取り出して部屋の中に引かれたファイバ線に繋げ始めました。 すると持っていたケータイで電話をし始めます。

「Bフレッツの工事をしている○○の者だけど、契約番号△△△△△△△の人の回線を
チェックしてくれないかな。・・・え?登録されてる?・・いや、(信号が)来てない
みたいなんだけどさぁ。・・・うん、うん、じゃあ確かにそっちは大丈夫なワケね。
じゃあどっかでダンセンしてるのかな?まいったなこりゃ〜。」


何か今、ヘンな言葉が聞こえたんですけど(;´Д`)。「ダンセン」て・・・断線ですか・・。 「いやぁスミマセン、信号来てないみたいなんですよ。どうもどこかで断線 してるみたいなので、ちょっと時間掛かっちゃいます。 本当にスミマセンねぇ」と頭を下げつつ作業を再開するおじちゃん。いや、いいです。ゆっくりでもいいのでちゃんと繋げて貰えると嬉しいです。 で、何をするのかと思ったら、今引いた線を引っ張って取り外しはじめました。 つまり「やり直し」っていうことですねワカリマシタ・・・。

時計はPM 12:00を回りました。私は最初、どんな作業をするのかなぁと思って作業現場に付きっきりだったのですが、 やり直し中にプレッシャーを掛けるのも気が引けたので、別の部屋で待機。そしてやり直し始めてから待つこと1時間近く、 「ようやく終わりました、お待たせしました〜」という声が掛かりました。時刻はPM 1:00ちょっと前。 あぁよかった、

今日中に終わらなかったらどうしようかと思った。(←大袈裟)


「今、こちらの(おじちゃんが持ってきた)パソコンでフレッツスクウェアに入って速度を測ってみたんですが、 70Mbpsも出てましたよ。 小金井は速いんですねぇ〜。府中で工事してたときは30Mbpsとかいうお宅が多かったですがね〜」 おじちゃん工事が終わってホッとしたのか饒舌になってきました。 こちらもパフォーマンスが悪くないと聞いてちょっとホッとしました。 話を聞いていると、最近はBフレッツの工事スケジュールがキツキツに埋められていて、毎日Bフレッツの工事をしているような ものだとい言います。やはりBフレッツの工事費無料キャンペーンの効果は絶大のようです。 また次の工事があるからということで、急いで帰る際に缶コーヒー2本を手渡しておきました。

何はともあれ、無事工事が終了! あとは21世紀の(←しつこい)光接続を満喫するだけだ〜〜! と思ったのもつかの間、Webから行う@niftyの「Bフレッツ利用登録」手続きを行うことができません。 よくよく調べてみると、まずはADSLコースの登録解除を行わなければならず、 その解除手続きに最短でも丸1日掛かるとのこと・・・。ここまで来て

おあずけ


を喰らってしまいました。勝負は明日に延期です!

思っていたのとちょっと違わない?

翌日の夜、帰宅してみると確かにADSL利用登録が解除されており、Bフレッツの利用登録が出来る状態になっていましたので 切り替えてみました。するとこのために新しく買ったメルコのルータ「BLR3-TX4」からしっかりと光経由で@niftyにPPPoEログイン することができました。そこで自宅のPCのデフォルトゲートウェイをこのBフレッツ用のルータ宛に書き換えて、 接続っ・・・・と、うむむ、ちょっと遅くない?
  1. http://member.nifty.ne.jp/oso/speedtest/ では下り 20Mbps〜1Mbps 程度。
  2. http://www.speedtest.jp/ のテストでは下り 7Mbps〜1Mbps 程度。
  3. @niftyの個人Webページへのftpでは、下り7Mbps、上り0.6Mbps ( ̄□ ̄;)


遅い!遅いです!! 下りは時々20Mbps等が出るものの、3Mbps〜7Mbpsあたりをウロウロし、1Mbps〜2Mbpsまで落ちることも少なくありません。 これでは実測3Mbpsで安定していたADSLのときのほうがむしろ良かったのではないかと思えるくらいです。 そしてもう1つ、上りが0.6Mbps(600Kbps)って、、、上下対象がBフレッツのウリだったはずでは??

何か非常に腑に落ちない気分で、今度はNTTの地域IP網にある「フレッツ・スクウェア」に接続して、 そこのページで速度を計測してみます(計測するためのページが用意されています)。 すると・・・・?驚く無かれ、50Mbps前後を叩き出すではありませんか!!

☆★ コ ン ニ チ ハ 21 世 紀 ! サ ヨ ウ ナ ラ 20 世 紀 ★☆


やっとFTTHらしい数字に巡り逢えました。そうですよ、FTTHといえばこうでなくっちゃ! 何回か試してみましたが、安定して40Mbps〜60Mbps前後の光速を叩き出しています。 先ほどの酷く遅い実験結果が頭にちらついていたので、「もしやNTTがウソの値を表示して誤魔化しているのでは…?」 と疑心暗鬼になったりもしましたが、フレッツスクウェア内のコンテンツを見てみると、500Kbps、1Mbps、果ては 3Mbpsのストリーミング映像などが何十分間も全くストレス無くスムースに表示されました。 1Mbps〜7Mbpsをウロウロするような不安定な回線では、こんなに綺麗なストリームが流れるハズがありません。 これでようやくハッキリと確信できました。" FTTH自体はちゃんと機能してる! "

じゃあ一体何がいけないんだ??


という話になります。 フレッツスクウェア内だけで快速かっとばしていても嬉しさは半減というか9割引き謝恩セールです。 やはりインターネットに繋いだときの速度にある程度FTTHらしさが見られないと納得もいきません。 そこでこんな図を(自分で)書いてみました。Bフレッツ・ニューファミリータイプの構成図です。



Bフレッツのニューファミリータイプでは、NTTの地域IP網に下り622Mbps、上り155Mbps の光ファイバが繋がれ、その線を末端で4×8=32の家庭で共有して使っています。 現時点ではFTTHを導入している家庭も少ないので 32家庭どころか1家庭で独占しているのかもしれませんが、ここは判りやすいように32家庭で利用しているとします。 622Mbpsを32家庭が同時に利用すれば、1家庭辺りの下り通信速度は19.4Mbps、上り通信速度は4.8Mbpsです。 また、各家庭からの最大通信速度は下り・上り共に100Mbpsに制限されていますので、通常の状態であれば、 下りは19Mbps〜100Mbps上りは4Mbps〜100Mbps の間ということになるでしょう。 要するに他の家庭の利用状況によって、自宅の通信速度にも変化が生じるという構造になっているのです。

しかしながら、この「ラスト1マイルの回線共有」は問題のポイントになっているとは思えません。 というのも、フレッツスクウェアへのアクセスが同様にこうした共有回線を利用しているにも関わらず、 常時50Mbps付近の光速を叩き出しているからです。 すなわちそれが、地域IP網までの通信は至極良好である、ということをハッキリと証明しているのです。 どうやら問題は@niftyのPPPoE認証サーバより奥にありそうです。 もちろん、@niftyのPPPoE認証サーバ自体の処理速度が遅い、という結論も有り得ない訳ではありませんが、 基本的にはその後ろのネットワーク帯域の問題だと考えることができるでしょう。

バックボーン問題は思ったより根が深い?

もし、問題がインターネット上のバックボーン回線の問題だとすると、そこは

もはや不可侵な領域になって


しまいます。 ご存知のとおりインターネットは様々な人のアクセスが無造作・無尽蔵に行き交う通信網であり、 あちこちで通信回線の輻輳(ふくそう)が起きる可能性があります。すなわち、 ある人が大きなデータをダウンロードしていただけで、同じ回線を利用していた他の人のアクセス速度が著しく低下してしまったりするのです。 回線速度もまちまちで、数十Gbpsという巨大なバックボーン回線があるかと思えば、個々のサービスを提供するサーバコンピュータに 繋がっている末端の線は100Mbpsの普通のイーサネットだったりします。極端な話、速度測定のサイトが100Mbpsの回線に繋がっていて そこにBフレッツの人が10人同時に速度を測定しに来たら、どんなに頑張っても10Mbps以下しか出ないことになります。 他にもサーバ側のCPU処理速度やHDD読み出し速度など、様々な点がボトルネックになる可能性がありますW杯チケット奮戦記の例を出すまでもなく、1つのサーバにアクセスが殺到すれば、 通信だけでなくサーバ自体の処理能力がパンクし、応答能力が著しく低下するのです。

下の実験結果は、別の日に取った速度の実測値です。 良好な結果が出るときは出る、という証です。

http://member.nifty.ne.jp/oso/speedtest/
データ受信速度測定値
計測開始: 2003/05/26 21:17:48.926
データサイズ = 2 M バイト
受信時間 = 0.813 秒
平均速度(バイト/秒) = 2.46 M バイト/秒
平均速度(ビット/秒) = 19.68 M bps
http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/
下り回線 速度 25.88Mbps (3.236MByte/sec) 測定品質 93.6
上り回線 速度 10.46Mbps (1.308MByte/sec) 測定品質 83.4

下り回線 速度 29.77Mbps (3.721MByte/sec) 測定品質 86.4
上り回線 速度 7.465Mbps (933.1kByte/sec) 測定品質 81.1
http://speed.rbbtoday.com
Date: 2003/05/26(Mon) 21:20:59
Download: 23.13Mbps
Upload: 2.29Mbps
測定サイト http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.2
測定時刻 2003/05/26 21:24:50
回線種類/線路長 FTTH/-
キャリア/ISP NTT Bフレッツ ニューファミリー/nifty
ホスト1: WebArena(NTTPC) 19Mbps(6008kB,2.5秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 21Mbps(16870kB,6.1秒)
推定最大スループット: 21Mbps
コメント NTT Bフレッツ ニューファミリーの平均速度は23Mbpsなのでやや速い方です。(2位/5階級中)


これを見ると、フレッツスクウェア内の50Mbpsには及ばないものの、インターネット接続でも状況さえ良ければ 下り20〜30Mbps程度の速度を叩き出せることが判ります。こうした高い数値が出ることが在るということは、 回線自体はそれ相応のポテンシャルを持っている ということの証明でもあります。同じサーバに接続した時にもっと低い値が出たら、 それは通信の輻輳が原因になっていると考えられるわけです。

さて一方で、上りが2Mbps〜10Mbpsで打ち止めになっている点は見過ごすことができません。 上り回線に関してはフレッツスクウェア内の計測システムがありませんので、 これがインターネットの中の輻輳によるものなのか、それとも光回線の限界値なのかも判断することができませんが、 実質、上り3Mbps〜5Mbpsが通常のパフォーマンスであるとすれば、期待とは大きくかけ離れたものだと言わざるを得ないでしょう。

そうした結果を踏まえ、妄想テーブルを実測値で埋めてみると下のようになります。

開始サービス理論値実測値形式
下り上り下り上り
1999年10月ISDN 64Kbps64Kbps56Kbps56Kbps手動
2000年9月フレッツISDN 64Kbps64Kbps56Kbps56Kbps常時
2001年3月ADSL eAccess 1.5Mコース 1,500Kbps500Kbps1,100Kbps350Kbps常時
2002年1月ADSL eAccess 8Mコース 8,000Kbps1,000Kbps3,300Kbps700Kbps常時
2003年5月Bフレッツ・ニューファミリータイプ 100,000Kbps100,000Kbps20,000Kbps5,000Kbps常時

(数字は全て実測値から得られる概ねの略値です。実測値は1回計るごとに変化します)


とりあえず下り20Mbps、上り5Mbpsとして埋めてみました。こうしてみるとBフレッツ導入の効果はかなり高かったように見えます。 しかし実際はといえば、フレッツスクウェア内の実験が示すように本来の回線は50Mbpsのポテンシャルを持っており、 インターネット内でも30Mbps近いパフォーマンスを見せることもできれば、バックボーンの輻輳によって2Mbps程度の遅さになることもあるという 波の激しい環境であるということが、実験の結果から読み取れることでしょう。こうした事象が示唆していることはただ1つ、 ラスト1マイルの回線速度だけが問題ではない時代 に突入したということです。つまり、

ネットの " 端っこ " だけ高速化しても、もうダメなのです。


個人宅の回線が50Kbps、100Kbpsと言っていた頃は、ネットのボトルネックはラスト1マイル(自宅への引込み回線)でした。 そのため、ラスト1マイルの速度を2倍にすれば、2倍快適にネットを楽しめたのです。しかし今やラスト1マイルの進化は著しく、 バックボーンの帯域との比が小さくなってしまいました。 以前なら1Gbpsのバックボーンを引けば 50Kbpsの家庭を2万回線分もまかなうことができましたが、 その高速な1Gbpsのバックボーンは今やBフレッツユーザ10人分にしかなりません。 皮肉にも低速だったラスト1マイルをふんだんに増強した結果、今まで十分だと思ってきたバックボーンの限界を垣間見ることになってしまいました。

これはどこぞのISPがバックボーン回線を増強すれば解決する、といった類の問題ではありません。 自宅のPCと通信先のサーバマシンとの間にある全ての回線が問題となるのです。 たとえISPが1000Gbps(=1Tbps)の回線をいっぱい用意したとしても、末端に繋がっているWebサーバが100Mbpsの回線に 繋がっていたとしたら結局そこがボトルネックになってしまいます。今まではラスト1マイルが50Kbpsという低速回線だったために サーバ側が1000Gbpsだろうが100Mbpsだろうが「速い回線の集まり」として「バックボーン」と呼称してきましたが、 もうそういう時代は終わりつつあるようです。

おまけ: MTUとTcpWindowSizeの設定

実験報告の最後に、MTU、TcpWindowSize (RWIN)の調整について少しだけ触れておきます。 MTU、RWINの調節については WiNeTips5.2.3 TCP/IPプロトコルとその最適化実験 for ADSL のあたりが判りやすいと思いますのでご覧いただければと思います。 要するにネットワーク通信するときに「データをどれくらいずつ運ぶか」という設定ができ、 その値いかんでデータの転送効率が大幅に変わってくるという非常に重要なシロモノです。 特にWindows98系のOSでは、デフォルトの設定値がアナログモデム通信に合わせて最適化されており、 ADSLを導入したユーザが「全然速度が出ない」というトラブルに見舞われる

社会現象を引き起こした


とまでは行かなくても一部でちょこっと話題になりました。基本的には水汲みと同様サジ加減の問題で、 沢山汲むときは大きいバケツを使ったほうが速く、飲み水を一杯汲むのには大きいバケツのほうが遅い、という原理です。 高速通信に乗り換えても、ちゃんと大きなバケツを使わなければデータを速くやりとりすることは出来ません。

さて、設定のやり方や値の決め方の原理などは上記サイトに譲るとして、実際に設定をしてみました。 NTT地域IP網を通る通信はMTU=1,454と決められていますので、これは動かせません。 TcpWindowSizeはMSS(=MTU−40)の偶数倍で、Windows2000ではMSS×12に設定されています。 すなわち何も設定しないとTcpWindowSize(バケツ)は1,414×12=16,968になっているワケです。

現在私が使用しているTcpWindowSizeは1,414×46×4=260,176です。MSS=1,414に、 RWINの限界値の64KB(65,535)を超えないような偶数倍(×46)を掛けて、 更にWindow Scalingオプション(Tcp1323Opts)を設定してスケール値(×4)の分だけアドバンテージを得た値です。 本来はこれ以外ももっと沢山の値を調べてみるべきなのですが(スケール値は16384まである!)、 この260,176という値は多くの人が使っている定番値のようですので、 面倒なのでこのままにしてあります。

http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/
TcpWindowSize=260,176 の場合

下り回線 速度 25.88Mbps (3.236MByte/sec) 測定品質 93.6
上り回線 速度 10.46Mbps (1.308MByte/sec) 測定品質 83.4

下り回線 速度 26.59Mbps (3.324MByte/sec) 測定品質 91.7
上り回線 速度 9.676Mbps (1.209MByte/sec) 測定品質 82.3
http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/
TcpWindowSize=16,968 の場合

下り回線 速度 12.51Mbps (1.563MByte/sec) 測定品質 89.5
上り回線 速度 10.81Mbps (1.351MByte/sec) 測定品質 84.5

下り回線 速度 13.43Mbps (1.678MByte/sec) 測定品質 88.5
上り回線 速度 8.409Mbps (1.051MByte/sec) 測定品質 84.0


上の表は、TcpWindowSize=260,176のとき(上)と、TcpWindowSize=16,968のとき(下)の測定結果の比較です。いずれも2回計測してみました。 これを見るとかなりハッキリと違ってくることが判ります。上り速度はほぼ同じですが、下り速度は半分になっています。 RWINの原理から言って、半分というよりは「13Mbps付近で頭を押さえられている」と見たほうが正しいでしょう。 ADSLでは最適と言われていたWindows2000のデフォルト設定も、それ以上の高速通信環境では明らかに再調整を必要とすることが見て取れます。

※ネットワークの仕組みそのものの詳しい話が気になる方は3分間NetWorking を是非どうぞ。とても面白くて参考になります(=´∇`=)

先モノ買いのイメージがあるBフレッツ

このようにBフレッツ・ニューファミリーコースをしばらく使用してみましたが、 正直に言いますと、通常の使い方(Web、メイルなど)に関しては、ADSL時代と比べてそれほどアドバンテージがあるわけではありません。 むしろ体感速度としてはほとんど変わらないと言ってよいでしょう。 下記はよく言われているFTTHの売り文句と、実際の使用感(ADSLとの比較)を表にまとめたものです。


Q. Bフレッツでよく言われる売り文句評価 A. 実際のところは・・・・
1.Webやメイルがむっちゃ速くて快適に!× 体感的にはADSLとほとんど変わらないかも
2.ストリーミングバリバリ! 接続先までの通信が良好なら堪能可(フレッツスクウェア等)
ラスト1マイルじゃないところで引っかかる可能性も大きい。
3.パッチとか大容量ファイルのダウンロードが速い! 100MBクラスのファイルだったらかなり短縮される。
そうそう機会がないけど・・・
4.上り速度が快速なのでサーバに最適! 下りと同じスピードが出ると思ったら大間違いだけど
ADSLのときよりは何倍も良い
5.通信が切れにくく安定! ADSL時代に若干不安定(不意の切断発生)だった人にはオススメ。
ADSLで安定している人にとっては同じこと。
6.光ファイバが何とこのお値段!× 受けられるメリット以上に高価なのは間違いない(7,600円/月)。
7.P2Pで快適ファイル交換生活! 出来ると判ってはいても、やらないほうがいいかと・・・。


私の場合、自宅にサーバを立てていましたので、FTTHに強く執着した理由は何と言っても上り回線の増強でした。 それと副次的な要素ですが、ネットゲームをしていましたので、ADSLのようにまれにノイズで瞬断する環境から 安定したコネクションに変わったことが大きなメリットでもありました。しかしこうしたメリットはかなりマニアックであり、 今のところ光ファイバーが万民に必要な回線かというと、 そうは言えないような気がします。

FTTHが万民にとって必要となるのは、おそらく2.のストリーミングバリバリ!が実現した時でしょう。 ラスト1マイルだけで見ればBフレッツはDVD並の高画質を安定して転送できるだけのポテンシャルを既に持っていますが、 結局ラスト1マイルだけが速くても不十分だということは、このコラムでも説明した通りです。 もともと300Kbps程度の中速ストリーミングならADSLでもストレス無く観賞できていたワケで、 それ以上(1Mbps〜6Mbps)のストリーミングを快適に見られるようになるためには、 まずはインターネットのバックボーンの問題を解決しなければならなくなるでしょう。

フレッツスクウェアのように閉じた環境だけで提供されるコンテンツなら、 快適な観賞が可能なのもお話した通りですが、何故か見られるコンテンツは「ガンダムSEED」と、 他にはウチワのつまらないインタビュー映像とかばかり。

「ガンダムSEED」は個人的にストライクゾーンを外れてるし、


いっそあれが「キノの旅」だったらなぁ・・・と思う今日この頃です ・・・いや・・・それも何か違う気が・・・・。

後日補足: プロバイダを替えると速いのか!?そうなのか?? (2003/07/14 UPDATE)

それから1ヵ月後、私はASAHI-NETのBフレッツコースへの申し込みを行っていました。 何となく腑に落ちなかったので、@nifty以外のPPPoEを経由したアクセスも試してみたかったのです。 ASAHI-NETは以前フレッツISDN時代にやはり@niftyと重複して契約していた経験があり、 eAccessのADSLにしてから一時解約していました。中堅のISPですが、エンドユーザ向けのサービスが少なく 「良い回線を安く提供する」ということだけにこだわったマニア向けの穴場ISPです。

そして実際にPPPoEの接続先をASAHI-NETに変更して計測をしてみたところ、 その結果は私の想像以上の結果となりました。 下記はほとんど同じ時間(夜・朝の2回)に@niftyとASAHI-NETの双方のPPPoE接続で回線速度を 測定してみた結果です。

@nifty経由: 夜9時頃
測定サイト http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/ および http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.2
下り回線 速度 17.60Mbps (2.200MByte/sec) 測定品質 98.4
上り回線 速度 1.03Mbps (128.8kByte/sec) 測定品質 61.3

ホスト1: WebArena(NTTPC) 12.1Mbps(758kB,.5秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 19.0Mbps(9971kB,4.3秒)
推定最大スループット: 19.0Mbps
コメント: NTT Bフレッツ ニューファミリーの平均速度は21.2Mbpsなので標準的な速度です。(下位から50%tile)
ASAHI-NET経由: 夜9時頃
測定サイト http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/ および http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.2
下り回線 速度 32.25Mbps (4.031MByte/sec) 測定品質 93.7
上り回線 速度 22.02Mbps (2.753MByte/sec) 測定品質 92.6

ホスト1: WebArena(NTTPC) 26.6Mbps(9971kB,2.7秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 23.9Mbps(6008kB,1.9秒)
推定最大スループット: 26.6Mbps
コメント: NTT Bフレッツ ニューファミリーの平均速度は21.2Mbpsなので少し速い方です。(下位から70%tile)

@nifty経由: 朝10時頃
測定サイト http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/ および http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.2
下り回線 速度 29.25Mbps (3.656MByte/sec) 測定品質 91.3
上り回線 速度 19.73Mbps (2.467MByte/sec) 測定品質 87.7

ホスト1: WebArena(NTTPC) 39.7Mbps(9971kB,2.1秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 34.4Mbps(16870kB,3.6秒)
推定最大スループット: 39.7Mbps
コメント: NTT Bフレッツ ニューファミリーの平均速度は21.2Mbpsなのでかなり速い方です!(下位から90%tile)
ASAHI-NET経由: 朝10時頃
測定サイト http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/ および http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.2
下り回線 速度 39.93Mbps (4.992MByte/sec) 測定品質 51.7
上り回線 速度 27.54Mbps (3.442MByte/sec) 測定品質 92.7

ホスト1: WebArena(NTTPC) 41.8Mbps(16870kB,3.3秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 44.3Mbps(16870kB,3.0秒)
推定最大スループット: 44.3Mbps
コメント: NTT Bフレッツ ニューファミリーの平均速度は21.2Mbpsなのでかなり速い方です!(下位から95-100%tile)


ハッキリとASAHI-NETの方が速い結果を叩き出しています。午前中ではインターネットへのアクセスで40Mbpsを越えることも 珍しくありません。もちろん、時間によっては遅くなる、サイト側が原因で遅くなる、という現象が発生する点は変わりませんが、 総じて@niftyより良好な結果です。何より、これが重要ですが、

アクセスがテキパキしているのが " 体感 " で判ります。


@nifty経由だったときにはPC Watch のような普通のニュースサイトの表示でも少し引っかかるような感じだったことが多かったのですが、 ASAHI-NET経由の場合は、通常のLAN内のページと同じようにあっという間に表示されます。

今回の件で、BフレッツではPPPoE接続先のISPによって随分とパフォーマンスが変わる、 ということがハッキリしました。 結局私は今、メインの接続をASAHI-NET経由に切り替えており、@niftyは個人Webサイト、メイルなどの周辺サービスの為に 契約を残しているという、ISPとしては「死に体」とも言える契約状態になっています。 ただし「@niftyは遅いISP、ASAHI-NETは速いISP」という決め付けもまた禁物です。 これらはあくまで現時点、現環境に於ける状況結果でしかありませんから、何らかの状況変化があれば評価にもすぐに変化が現れるはずです。 「ASAHI-NETは速い!」なんて噂がたって急激に会員が増えれば、たちまち「ASAHI-NETは遅い!」に早変わりしてしまうことも在り得るのです。 バックボーンの問題にも絡んできますが、End-to-Endの通信を快適にするのは一筋縄ではいきませんね・・・。

 

ご意見、ご感想は、 とらんぱ伝言板 または、 C-KOM(c-kom@mbf.nifty.com) まで。

FREE WALK AVENUEに戻る。
表紙に戻る。