ログが残るチャット「Lingr」 - チャットログにPermalinkが付いた意味

2007/03/18

日曜コラムです、こんばんは。
 
昨日、梅田さんとJTPA主催の Lingrチャットイベント が開催されたのは
既にデジ埋でも取り上げさせていただきました。そのログを読みやすくする
ために、突貫で「lingr text」というサービスを作ったのも既報の通りです。
 
■2007/03/17 [梅田さんLingrチャットイベント無事終了! - Lingrログを軽く読む「lingr text」
梅田さんLingrチャットイベント無事終了! - Lingrログを軽く読む「lingr text」]
 
開催時間は日本時間の3/17 11:00~12:30 (北米では3/16 19:00-20:30)
の1.5時間でしたが、その間に、
 
 150人以上、1,000を超える書き込みがありました。
 
均すと、5秒に1回は書き込みがあったという計算になります。
 
百聞は一見にしかず、まずはそのログをlingr textでご覧ください。
読み返すだけでも、当時の熱気がある程度伝わってくるハズです。
(「Mochio」というIDが梅田さんの発言になります)
 
http://c-kom.homeip.net/lingrtext/url/http://www.lingr.com/room/jtpa-umeda/archives/2007/03/16

 
・PC世代とケータイ世代
・日本のネットはじめじめしてる?
・もっと褒めよう
・Rich ChenのHatena参画あれこれ
・没頭する、自分を信じるものが強い
 
おおまかにはこんな流れになっています。が、細かく読んでいると、
あちこちにピリッと面白い発言があってなかなか味わい深いログです。
 
 
もう1つ例題を挙げてみましょう。
 
実は第一回目の梅田さんチャット企画がサーバ負荷でアウトになった2/3頃、
やはり私はLingrのことを試すべくいろいろLingrをいじっていました。
「デジモノサロン」 というルームを作成して、数人の方とお話をした
記録が今も残っています。
 
http://c-kom.homeip.net/lingrtext/url/http://www.lingr.com/room/ckom/archives/2007/02/02

 
http://c-kom.homeip.net/lingrtext/url/http://www.lingr.com/room/ckom/archives/2007/02/03

 
最近はlingr textのトップで hot rooms 100 を表示し始めたこともあるのですが、
Lingrでは濃い話題を展開しているルームが思った以上に存在しています。
たとえば「ARTIFACT -人工事実-」のkanoseさんが主催している「ARTIFACT
というルームがあることに昨日初めて気が付きました。ログを読み返すだけでも
かなりの読み応えがあります。
 
こうしてチャットの様子をログとして記録しておき、あとからいくらでも
読み返すことができるというのは、従来の「チャット」という概念からは
ちょっとかけ離れたものです。そしてそれこそが、Lingrが抜群に面白い
理由の1つだと私は思っています。
 
 
従来、チャットといえば、話は常に「その場限り」という扱いでした。
IRCクライアントを用いた本格的なチャットにせよ、Web上のCGIで擬似的に
リロードを繰り返すチャットにせよ、
 
 書き込みが保存されるのは最新の数十件~数百件まで
 
と相場が決まっており、それ以上のログは全てかき消されていきました。
それにより参加者は、逆に言えば「その場限りの発言」を刹那的に繰り返す
という「チャットらしい楽しみ方」をすることができていました。
 
ところが、Lingrではログが全て残ります。どんな風に残るのかといいますと、
上記のリンクをご覧頂ければわかりますが、
 
 http://www.lingr.com/room/(ルームID)/archives/(年)/(月)/(日)
 
という形でご丁寧に日ごとに分割されて保存されていきます。
それはPermalinkという形でWeb上の不変のコンテンツとして識別され、
ときにはそれがソーシャルブックマークでhot entryになったりもするのです。
 
 何かに似ていませんか? そう、「ブログ」です。
 
いわゆる日記サイトがトップページに延々と更新情報を上げ続けていた頃とは違い、
ブログでは記事ごとのPermalinkが定められることで、コンテンツそのものへの
リンクを作りやすい構造になりました。そして面白いコンテンツは次々に各所で
取り上げられ、情報が伝播する過程が著しく活発化したのです。
 
Lingrは、「チャット」という言葉とは裏腹に、
 
 より感情的で反射的な言葉を集めた共同ブログ
 
のような位置づけを持っています。上記の梅田さんのイベントチャットのログが
まさにそうですが、多人数が参加したチャットのログは、その場でネット上の
コンテンツとして価値を持ち、流通し始めるのです。
 
http://c-kom.homeip.net/lingrtext/url/http://www.lingr.com/room/ckom/archives/2007/02/03

 
デジモノサロンの2/3のログでも、そんなチャットをした記録が残っています。
チャットを「フローからストックに」。Lingrが持つログ記録の威力は、
ネット上のより感情的で反射的なコンテンツを量産する形で発揮されます。
 
逆に言えば、チャットとは名ばかりで、そこで行われる会話は、
 
 永遠に残り続けることを意識した会話
 
であることをちゃんと認識しておく必要があります。そのあたりは
ブログのコメント欄にコメントを残すのと変わりません。
たとえばうかつな気持ちで誰かの悪口を言ったりすると、それは永遠に
残り続けて、後々に何かの火種になってしまうこともあるでしょう。
「ログが残るチャット」が求める覚悟というのはせいぜいブログコメントと
同程度のものでしかありませんが、それでも従来のチャットとは少々異なります。
 
 
Lingrは、チャットログにPermalinkを授けることで、
 
 チャットというフロー情報に「あとから参照する価値」を
 
加えることになりました。lingr text ではそんなLingrのルームで残されたログを
読み漁ることができるようにいろいろ工夫をしていきたいと思っています。
 
http://c-kom.homeip.net/lingrtext/

 
Lingrではネットの世界の有名人があちこちで会話をしており、
そこで繰り広げられる何気ない会話は、ブログ記事のようにかしこまった
内容とは異なった、ライブ感いっぱいの面白さ・本音感があります。
 
従来のチャットでは、そのライブ感は、たまたまリアルタイムで参加していた
人だけのものでした。Lingrはログを残すことにより、その「チャット」に、
Webに於けるコンテンツとしての価値 を与えたのです。
それを読みふけるだけでも、従来とは違った面白さを感じることができるでしょう。


2007/03/18 [updated : 2007/03/18 23:59]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




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▼ はてなブックマークのコメント ▼

hiromark 2007/03/19
完全に同意。
wacky 2007/03/19
Lingrが面白い理由。従来のチャットとは違い、ログが永久に残る & permlinkが付くので、その場に参加できなかった人でもライブ感を共有できる。
Trino-o-niku 2007/03/19
ほむ
nirvash 2007/03/19
チャットのログにパーマリンクをつけるのはエチケット。IRC も個々の発言にユニークID振るようにするべき。
hiro_y 2007/03/19
「チャットというフロー情報に『あとから参照する価値』を加えることになりました。」
fuki1234 2007/03/20
これは大きな変化だなぁ。ミクロな玉石混合って感じ。
lapis25 2007/03/20
メモに使ってみよう
santaro_y 2007/03/22
本音っぽさ
lockcole 2007/03/27
より感情的で反射的な言葉を集めた共同ブログとしての性質を,チャットログにPermalinkを与えたことで得ることに成功したという話。同期型コミュニケーションメディアにPermalink,ってのはなるほど確かに新しいな。
fenethtool 2008/06/29
Annotated link http://www.diigo.com/bookmark/http%3A%2F%2Fc-kom.homeip.net%2Freview%2Fblog%2Farchives%2F2007%2F03%2Flingr_permalink.html
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▼ コメント ▼

No.10167   投稿者 : うめ   2007年5月24日 13:56

じつはぼくも梅田なんです



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