ビデオテープを整理する「苦行」 - メディア交換から脱却するために

2006/10/22

日曜コラムです、こんばんは。
 
クリックすると拡大画像を表示します。部屋の整理をしていると、何処からともなくウジャウジャ出てくるのは、
 
 ビデオテープと、カセットテープと、フロッピーディスク
 
です。本当に、どうしてこんなに沢山あるんだ、というほど出てきます。
 
当然ながらこれらは、ほとんど使い道がありません。何かしらの方法で
廃棄していきたいのですが、そのためには、残しておきたい特別なデータが
どこかに残っていないか、
 
 念入りに内容をチェックしていかないといけない
 
という 「苦行」 が待っています。
 
「カセットテープ」 はまだ良いのです。それらはどうせほとんどがかつて
レンタルCDを借りてきてダビングしたものであり、今後の人生の中でも
多少の出費を厭わなければ再ゲットできるデータばかりです。
 
また、「フロッピー」 の中身のほうはというと、PCの激しい進化の中で
わずか1MBの中に納まるデータ、プログラムが今後必要になる可能性は
ほとんどゼロに近いという意味で、中身を確認せずに捨ててしまっても
問題がないデータであると言えます。
 
一方、問題なのが 「ビデオテープ」 です。
 
こちらはレンタルビデオをダビングしたものなどはありません。
そのほとんどが「テレビの地上波放送」を録画したものであり、
 
 ここで失うと、もう二度と手に入らないモノかもしれない
 
のです。
 
例えば、競馬の重賞レース を録画したビデオたち。
DVDで再録されて発売されているレース映像なんて、ごく一部だけです。
マイナーなレースでも思い出深いレースはいくらでもありますが、そうした
映像はもう誰の目に触れることもなく埋もれてしまう可能性があるのです。
(例えば89年の根岸S、ダイナレターの超絶追い込みシーンとか!)
 
じゃあこれらを整理することが、どれほど大変かというと、
それはそれは、想像を絶するほど大変です。
 
たとえばビデオテープが目の前に30本あったら、
その中身をチェックして要るものと要らないものを選り分けるだけでも
 
 丸一日作業になってしまいます。
 
するとビデオテープが 300本 あったら?
毎週土日どこにも遊びに行かず、ひたすらビデオテープ整理をしたとしても、
 
 まるまる1ヶ月以上掛かっても終わらない計算
 
になるのです。人によっては300本では済まない人もいるでしょう。
そうなると気が遠くなるようなお話です。
 
 
個人が所有するデータは、時代によってタイプが分かれています。
これは映像、音楽などコンテンツの種類に関わらず共通の傾向が見られます。
 
 1、アナログテープ世代
 2、デジタルディスクメディア世代
 3、デジタルジュークボックス世代
 
世代を経るごとに、データの扱いは便利になっていきます。
 
1のアナログテープ世代は、たとえば3倍録画の120分ビデオテープに
何がどこから入っているのか判らない状態で、
 
 早送りと撒き戻しを駆使して全体像を把握する
 
だけでもとてつもない時間が掛かります。
 
2のディスクメディア世代には、その手間を大きく短縮する
「ランダムアクセス」 という強力な武器が加わりました。
CDにしてもDVDにしても、コンテンツごとに「頭だしが一発でできる」
ということが、データの検索性を大幅に向上させたのです。
 
しかしながらディスクメディア世代は、ディスク1枚あたりの容量を超えた
検索に対しては相変わらず無力でした。メディアが100枚あれば、100枚の
メディアを手作業で入れ替える という苦労が相変わらず必須でした。
 
3のジュークボックス世代になり、ついに私たちはメディアの入れ替えという
アナログテープ時代からディスクメディア時代まで残っていた苦行を
取り除くことに成功します。その先鋒となったのは iPod でした。
そしてNapsterらもそれに続くことになります。映像の世界では、
奇しくも HDDレコーダ がそのメリットを大きくアピールすることになりました。
 
Blu-ray と HD DVD の熾烈な争いが続く次世代ビデオディスク戦争、
最近はBlu-rayが優勢だと囁かれ始めていますが、私は「どちらが優勢か?」
「どちらが次世代に相応しいか?」という問いの前に、どうしても
その一歩手前の段階での疑問を拭えないでいるのでした。
 
 これは「次世代もディスクメディアで良い」という宣言なの?
 
iPodやHDDレコーダによって、みんなが気づき始めています。
「メディア交換からの脱却」「ジュークボックスの利便性」
これらのムーブメントから目を逸らしたまま、
 
 次の数年を再びディスクメディア交換作業の世代にする
 
ことを、私たちは果たして許容できるのでしょうか。
 
もちろんBlu-ray、HD DVDを推すコンテンツ供給側は、それを理解していない
ワケでも何でもありません。彼らは形ある「メディア」を作らないと
生計が成り立たない部分が多々あるのです。だからジュークボックス化で
利便性向上が可能であるにも関わらず、それを声高に叫ぶことはありません。
iPodの業界からの疎まれ具合 を見れば、それは一目瞭然でしょう。
 
 
さて、私の周りに残ったビデオテープは、コツコツと整理をしていかなければ
なりません。いずれビデオテープを再生する機器も入手が難しくなるでしょうし、
カセットを入れて再生するという作業も億劫になってくることでしょう。
数百本のビデオテープを汗水たらして整理しようとすれば、それが今の時代の
コモンセンスから見ればどれだけナンセンスな状態であるかが良く判ります。
そしてこの状態は、この苦行は、
 
 Blu-rayでもHD DVDでも、何ひとつ変わらないのだ、
 
という確信がそこにはあります。むしろ コピーワンス が加われば、
その整理の利便性はさらに悪化するかもしれません。
 
私はこのビデオテープを整理するために、新たに RD-XV81 の導入を決めました。
機能のワリに高い値段ですが、それもこの際仕方ありません。
大事な映像だけ、ビデオテープからHDDにダビングして、HDDからVirtualRDで
PCに引っこ抜き、MPEG-1にエンコードしてNASに保存しておく予定です。
 
もう二度と、大量のメディアに囲まれる生活には戻るまい・・・。
沢山のビデオテープの前で、私は心に固く誓うのでした。


2006/10/22 [updated : 2006/10/22 23:59]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
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yugui 2006/10/23
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No.5091   投稿者 : 優駿   2006年10月23日 17:23

大分前にやりました。VHSから8mmビデオに救い出した(と当時は思っていた)
テープを、8mmデッキの最後の能力振り絞って、DVDRAMにコピーしてあります。

画像はぼろぼろだけど、捨てるに捨てられないのが多いので。
確か100巻くらいあったはず。まあ、DVDで代替できるようなやつは捨てましたけど。

ただ問題はこの先でしょうね。いつまでもDVDRAMをサポートしてくれる保障は
無いから、いずれどこかのフォーマットへ再度変更しなけりゃならないのでしょうね。



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