据え置きゲーム機に期待する「オンライン」へのコミット
2006/09/10日曜コラムです。こんばんは。
今週はいろいろなイベントがあって、私にとっても、そしておそらく
みなさんにとっても、とてもワクワクする週になりそうな予感がします。
まず9/12には、アップルのイベント が開かれます。
■Engadget Japan「アップル、次のショウタイムは9月12日」
http://japanese.engadget.com/2006/09/06/apple-showtime-event-9-12/
有力視されているのは「新iPod nano」の登場ですが、そこはあのアップル
のこと、思いもしないモノが飛び出てきたり、逆に確実視されているモノが
さらっとスルーされたりしますから要注意です。いずれにせよ、
実質、昨年末から何も進化がないiPodですから、
そろそろ何かあっても良いのではないか、という期待は膨らみます。
続いて、9/14には 任天堂のイベント があります。
■WiiINSIDE「任天堂が9月14日にWiiの体験説明会を開催」
http://www.nintendo-inside.jp/news/190/19020.html
いよいよ、Wiiの発売日と価格が明らかになる、のか?
多くの注目が集まります。他にもローンチタイトルの発表などが
あるかもしれませんし、この勢い次第で年末商戦のPS3との対決に於ける
優勢・劣勢が決定付けられるかもしれません。
さらに9/15、私が前々から注目していた 「Creative ZEN V PLUS 4GB」
が発売になります。予約を早々に入れた私は、この週末に実物を手にしている
ことを信じて疑っていません。届き次第、デジ埋でもレポートさせて頂きます。
さて、ここではこのうち、2番目の Wiiの話題 に絡めて1つお話しましょう。
最近のゲーム業界は「NintendoDSしか市場が活気付いていない」という
話が良く聞かれます。
■ゲーム情報サイトeg「ランキング」
http://eg.nttpub.co.jp/ranking.html
ソフトの販売ランキングを見ても、例えば今週はトップ10のうち何と8本がNDS、
さらに1本がGBAで、PS2の「PSU」がトップを奪取したものの、
据え置き型ゲーム機のソフトは1本しか
トップ10入りを果たしていません。トップ30まで見ても、20本がNDSです。
最近はよく「Sonyが落ち目、任天堂が逆襲」という構図を思い描くことが
多いかと思いますが、じゃあWiiもその勢いに乗って快走するか? というと、
このランキングを見るとちょっと心許なくなります。
人々が既に「据え置きでじっくりするゲーム」そのものから離れていっている、
というシナリオがあるとしたら、ゲーム業界にしてみるとそれが一番ツライ
ことになるでしょう。Wiiは起動時間やロード時間を出来るだけ掛けないことで
障壁を減らそうとしていますが、それでもテレビ画面のある場所に移動して
腰を落ち着けてゲーム体勢を取る、というだけでも結構な手間になります。
実はWiiの敵は他でもないNintendoDSだったりするのかもしれません。
そんな据え置きゲーム、大作ゲームに、かろうじて活力を与えるであろう要因は、
「オンライン」にあると私は思っています。いえ、何も、みんな大作MMOになれ!
というワケではありません。ただ、
ゲームを起動する = 誰かと繋がれる
という構図は、コミュニケーションそのものがキラーアプリと化している近年の
傾向に照らし合わせると、最も重視すべきポイントなのではないかと考えられます。
■「ゲーム離れ」はウソ?――本当は成長していた日本のゲーム産業
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000008092006
和田氏は、講演のなかでこの数字を引用し、日本のゲーム市場が
実はトータルでは一度も縮小していない現実を説明して見せた。
アーケードゲームは、2001年以後、ヒット作に恵まれ成長が継続しており、
また、携帯電話ゲーム、オンラインゲームのこの2年あまりの伸びは
非常に大きく、市場全体の10%に近いところまで成長している。
講演しているのがスクエニの和田さんですから多少割り引いて聞くとしても、
確かにオンラインゲームの勢いは注目に値するでしょう。
私自身、2002年11月~2004年夏頃まで、約1年半の間FFXIにハマっていた
経験を持っています。その後も、ログイン自体はロクにしていないものの、
アカウントとキャラ数体は今でもずっと保持しているという状況です。
ちなみにFFXIの利用料金は月額1,280円。追加キャラの保持は1体につき100円で、
私は今でも何もしていないのに、
月額1,680円、つまり年間20,160円を支払っている
のです。バカバカしい!と思うかもしれませんが、これがオンラインゲームの
実情です。キャラにアイデンティティを持たせることで、キャラ削除の障壁が
グンと上がります。そして何より、一人でゲームをしている時には絶対に
生まれることのなかった、
誰かとの「ゲーム体験の共有」という喜びが、
また戻って何かをしたい、誰かとまたゲーム体験を共有したいという欲求を
誘うのです。この共有感の醸成に成功すれば、人々はまたゲーム機の前に
戻ってくるかもしれません。マニアックな設定を知らなくても、
ゲームの電源ををONにすれば自然と沢山のヒトと繋がってゲームできる、
そんな世界を据え置き型のゲーム機には期待したいモノです。
前述したように、何も大作MMOになる必要はありません。
レーシングゲームとか、サッカーゲームとか、格闘ゲームとか、
今まで普通に 「2P対戦」 とかしていたゲームがみんなオンラインになり、
実力によるクラス分けが自動で行われて、適切な対戦相手がどんどん見つかる、
いわば 「バーチャル碁会所」 のような形式が自然にセッティングされれば、
ゲームはまた 「簡単にハマる娯楽」 に返り咲くことができるかもしれません。
ただし、その際にどうしてもポイントになるのは、利用料金です。
ゲーム産業は元来、パッケージ販売を利益の中心に据えてきましたが、これは
「新作には飛びついて欲しいけど、3ヶ月くらいで飽きて欲しい」
という微妙なバランスを作ることで成り立っています。1本のゲームが延々と
楽しく遊べてしまうと、新作を購入する必要がなくなってしまうのです。
オンラインゲームに「利用料金」が必須というのは、単にサーバ運営費だけの
問題ではなく、新作パッケージ販売収入の補填という意味合いも含んでいます。
しかし一方で、利用料金そのものがまたゲームへの障壁を作ってしまうことも
また事実です。また、支払いが「クレカのみ」となってしまったりすると
それだけでも異常に障壁を高めてしまうことは既にXbox Liveが証明済みです。
インターネットそのものが娯楽として時間を奪っている現在、
人々をゲーム機の前に連れ戻すのは実はとても難しいことなのかもしれません。
その1つの突破口として、インターネットがキラーとしていた コミュニケーション
の取り込みは欠かせなくなるでしょう。私はオンラインゲームの未来には非常に
強い興味を持っています。やり方によっては、今のブログやSNSのライトな部分、
つまり論壇とか知的欲求の充足とかいう小難しい分野ではなくて、
「繋がり」そのものが「心のキラーアプリ」になって
いるようなケースに於いて、ゲームがそれを全てカバーする可能性があるからです。
そういう意味で、今後5年を担うゲーム機が、どこまで「オンラインありき」に
傾倒できるのか、そういう視点で私はWiiやPS3の動きを見てみたいのでした。
2006/09/10 [updated : 2006/09/10 23:59]
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